外資系企業の日本法人に経理担当者として着任すると、ほどなくして本国の親会社から「日本の監査人を選任してほしい」「グループ監査人からの指示書(Group Audit Instructions)に対応してほしい」という依頼が届きます。ここで登場するのが「リファーラル監査(Referral Audit)」です。本コラムでは、外資系企業の実務でしばしば混乱が生じるこの概念を整理します。

リファーラル監査の仕組み

リファーラル監査(リファード監査とも言われます)とは、海外親会社の監査人(グループ監査人)からの依頼・指示に基づき、日本子会社の財務情報について現地の監査人(コンポーネント監査人)が監査手続を実施する形態を指します。日本の会社法や金融商品取引法に基づく法定監査とは異なり、あくまで「親会社の連結財務諸表監査の一部」として行われる点が最大の特徴です。

項目通常の法定監査(日本基準)リファーラル監査
主な目的日本の法令(会社法・金商法)
への準拠性の検証
親会社の連結財務諸表監査の
一部としての検証
指示・基準の出所日本の監査基準・現地の監査チーム海外のグループ監査人
(指示書:Group Audit Instructions)
採用する会計基準日本基準
(一般に公正妥当と認められる
企業会計の基準)
親会社が展開する
グループアカウンティングマニュアル
(IFRS、US GAAPなどがベース)
報告先・宛先日本法人の株主・取締役会など海外のグループ監査人
(レポーティングフォーム)

具体的には、グループ監査人から送付される指示書に従い、指定されたグループアカウンティングマニュアルや会計基準(IFRSやUS GAAPなど)・重要性の基準値・報告期限に基づいて手続を行い、監査結果をレポーティングフォームで親会社の監査人に報告します。監査報告書の宛先が日本法人ではなくグループ監査人である点も、通常の法定監査と異なります。

監査実務上つまずきやすいポイント

  • 第一に、会計基準のギャップです。日本法人の帳簿は日本基準で作成されている一方、グループ報告はグループアカウンティングマニュアル(IFRSやUS GAAPなどをベースに作成)で求められるため、GAAP調整の巧拙や理解が監査の効率を大きく左右します。
  • 第二に、スケジュールです。海外親会社の決算スケジュールは日本企業より格段にタイトなことが多く、期末日から数週間でサインオフ(監査報告)を求められるケースも珍しくありません。監査人と早期にタイムラインを共有し、ハードクローズや期中手続を活用することが不可欠です。
  • 第三に、言語の壁です。指示書・質問状・報告様式はすべて英語であり、グループ監査人との電話会議も英語で行われます。英語対応が可能な監査チームを選ぶことは、日本法人の経理部門の負担を大きく減らします。

また、リファーラル監査と法定監査の関係も整理が必要です。日本法人が会社法上の大会社に該当する場合、リファーラル監査とは別に会社法監査が必要となります。両者を同じ監査人が担当すれば、手続の重複を避けて効率的に進められるため、監査人選定の際にはこの点も考慮すべきです。

監査人選定のポイント

リファーラル監査は「小規模だから簡単」というものではなく、国際監査基準(ISA)への準拠、英語でのコミュニケーション、タイトな納期対応など、独特の専門性が求められます。大手監査法人では報酬水準が見合わず、かといって国際対応の経験がない事務所では親会社の監査人の品質基準を満たせない──外資系日本法人の監査人選びには、こうしたジレンマがつきものです。

SMASH国際ではリファーラル監査を得意分野としており、多くの外資系企業のクライアント様を担当しております。グループ監査人との英語での直接折衝、IFRS・US GAAPでのレポーティング対応まで一貫してサポートいたします。そして何よりも弊社最大の特徴は、監査の本場であるイギリス・アメリカでの大手監査法人勤務経験のある、本当の意味でのグローバル監査と英語によるレポートができるメンバーが揃っている点です。この経験と知見に裏付けされた真の意味でのグローバル監査を出来る監査法人が監査を行うことで、海外親会社とのコミュニケーションが格段に良くなった、日本法人が信頼され、より仕事がし易くなった、などの効果があります。

何かございましたらお気軽にお問い合わせください。

【本件に関するお問い合わせ】

  • SMASH国際監査法人
  • 担当: 森 大輔(公認会計士)
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