「経理マネージャーが退職し、後任が見つからない」「英語とIFRSができる経理人材の採用に1年かかっている」──外資系企業の日本法人から、こうした悲鳴に近いご相談が年々増えています。本コラムでは、外資系企業特有の経理人材問題と、その現実的な解決策を考えます。

外資系の経理はなぜ採用が難しいのか

外資系日本法人の経理には、通常の簿記・決算スキルに加えて、英語でのレポーティングとコミュニケーション、IFRSまたはUS GAAPの知識、親会社指定のERP・連結システムの操作、そしてグループ監査人・現地監査人双方への対応という、複合的なスキルが求められます。この条件をすべて満たす人材は労働市場で極めて希少であり、報酬水準も高騰しています。

さらに構造的な問題として、外資系日本法人の経理部門は少人数であることが多く、「一人経理」や「二人経理」で決算のすべてを回しているケースが目立ちます。この体制では、以下の三重のリスクを抱えることになります。

  • 担当者の退職・休職で決算および親会社へのレポーティングが即座にストップする
  • 業務が完全に属人化し、内部統制としてのクロスチェック(レビュー機能)が働かない
  • 不正リスクに対する職務分掌が組織として確保できない

「すべて自前」から「コア+外部リソース」へ

この問題への現実的な解は、すべての機能を自社雇用で抱える発想から、コア業務は社内・専門業務は外部という体制へ移行することです。

社内に残すべき「コア業務」外部に委託可能な「専門・決算業務」
・最終的な会計方針の意思決定
・親会社経営陣・財務チームとの折衝
・日常の簡易な記帳・支払オペレーション
・日本基準からIFRS/US GAAPへの差異調整
・海外レポーティングパッケージの作成
・グループ監査(リファーラル)の対応窓口

外部活用のメリットは、採用リードタイムなしに専門スキルを確保できること、退職リスクから解放されること、繁忙期だけ柔軟にリソースを増強できることにあります。

外部委託を設計する際は、委託先との資料授受を標準化することや、監査人との独立性の整理(監査人と支援者が同一の場合の業務範囲の制約)をあらかじめクリアにしておくことが成功のポイントになります。人が採れないことを前提に、業務の仕組みと外部リソースで決算を安定させる発想への転換が求められています。

SMASH国際では、外資系企業向けに決算支援・レポーティング支援等のアドバイザリーサービスを提供しております。また、リファーラル監査を得意分野として多くの外資系クライアント様を担当しており、監査・アドバイザリーの両面から貴社の体制に合ったご支援が可能です。何かございましたらお気軽にお問い合わせください。

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  • 担当: 森 大輔(公認会計士)
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