「法律上の監査義務はないが、財務諸表の信頼性を高めたい」「親会社や銀行から何らかの検証を求められたが、フル監査までは必要ないのでは」──非上場企業からこうしたご相談を受けることが増えています。実は、公認会計士が提供する保証・検証サービスには段階があり、目的に応じた使い分けが可能です。本コラムでは、その選択肢を整理します。

監査・レビュー・合意された手続(AUP)の比較

 監査レビューAUP
保証水準合理的保証(高)限定的保証(中)保証なし
結論の形式適正である旨の意見
(積極的形式)
重要な虚偽表示は発見されなかった旨
(消極的形式)
手続の実施結果の報告のみ
主な手続実査・立会・確認等の体系的手続質問と分析的手続が中心依頼者と合意した特定の手続のみ
費用・負担
主な利用場面法定監査、株主・親会社等の要請による任意監査海外親会社への四半期報告等M&Aの一部検証、特定勘定のチェック等

三つのサービスの違い

監査は、財務諸表が全体として適正であることについて、合理的保証(高い水準の保証)を与える意見を表明するものです。実査・立会・確認を含む体系的な手続を実施するため、信頼性は最も高い一方、手続の分量と費用も最大になります。法定監査のほか、株主・親会社・金融機関の要請に基づく任意監査もこの形です。

レビューは、質問と分析的手続を中心とした限定的な手続により、「財務諸表に重要な虚偽表示があると認められる事項は発見されなかった」という消極的形式の結論を表明するものです。監査より保証水準は下がりますが、その分、負担と費用を抑えられます。海外親会社が四半期報告に求めるケースも多い形態です。

合意された手続(AUP)は、依頼者と合意した特定の手続(例:売掛金残高の照合、特定契約の検証)だけを実施し、その結果を事実として報告するものです。保証の意見は表明しませんが、「見てほしいポイント」が明確な場合には、最も機動的で費用対効果の高い選択肢になります。M&Aの一部検証や、海外子会社の特定勘定のチェックなどで活用されています。

どう選ぶか

選択の軸は、①誰に対して信頼性を示したいのか(銀行・親会社・買い手・株主)、②相手が求める保証水準、③かけられる費用と時間、の三点です。たとえば、将来の法定監査(大会社化)や株式売却を見据えるなら任意監査で早めに体制を整える、海外親会社の要請ならグループ監査人と相談のうえレビューで足りるか確認する、特定のリスクだけ検証したいならAUP、といった具合です。

重要なのは、目的に対して過剰でも過少でもないサービスを設計することです。この設計自体が専門家の腕の見せどころといえます。

SMASH国際では、監査・レビュー・合意された手続まで多様なサービス提供実績並びに企業様の目的に応じた最適な形をご提案しています。海外親会社や金融機関から検証を求められてお困りの企業様は、最適な監査・レビュー・AUP等のサービスをご一緒に検討いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。

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執筆者: 森 大輔(公認会計士・公認不正検査士)