大会社基準への到達、親会社からの要請、金融機関の求め──きっかけはさまざまですが、「初めて監査を受ける」ことになった会社の経理部門には、共通した不安があります。何を準備すればよいのか、どれくらい大変なのか、いつ何が起きるのか。本コラムでは、初年度監査の1年間の流れを時系列で解説します。
■ 初年度監査の1年間の流れ
| 時期 | 監査人側の動き | 企業側の準備 |
| 契約前 | 予備調査(ショートレビュー) | 課題リストの受領。会社内の基礎的資料(登記簿、定款、申告書、決算書や残高明細等)の整備 |
| 期首〜期中 | 監査計画、内部統制の把握、期首残高のへの検証テスト、取引テスト | 期首残高の検証に備えた過年度資料の整理、承認記録を残す運用の定着 |
| 期末前 | 実地棚卸の立会、確認状の準備 | 棚卸ルールの整備 |
| 期末〜報告 | 資料依頼、質問や資料閲覧(サンプルテスト)、修正事項の協議、開示チェック、監査完了 | 決算整理、依頼資料リストや監査人からの質問への対応。開示書類の作成、株主総会から逆算した日程調整 |
| 最終 | 監査報告書の発行 | 経営者確認書の提出 |
契約前:予備調査(ショートレビュー)
多くの場合、監査契約の前に予備調査が行われます。監査人が会社の事業・経理体制・会計処理の概要を把握し、監査を受け入れられる状態か、どの程度の工数が必要かを見極めるプロセスです。ここで会社が監査に耐えうるか、企業全体のリスクがないか、引当金の未計上、在庫管理の課題などが洗い出され、監査までに整備すべき事項のリストが示されます。企業側にとっては、監査本番前に課題を潰せる貴重な機会です。
期首〜期中・期末前:体制整備と期中手続
初年度監査では、期末残高だけでなく期首残高の検証も必要になります。前期以前の帳簿・証憑の保存状況が問われるため、過年度資料の整理は早めに着手しましょう。期中には、監査人が内部統制の把握や取引テストを行うほか、実地棚卸の立会に向けた棚卸ルールの整備、売掛金・買掛金の残高確認(確認状の発送)の準備が進みます。「承認の記録を残す」「帳簿と証憑を紐づけて保管する」という基本動作を業務に組み込むのがこの時期です。
期末〜監査報告:山場の乗り切り方
期末を迎えると、決算整理、監査人への資料提出(依頼資料リストへの対応)、質問対応、修正協議と続き、最後に経営者確認書を提出して監査報告書の発行に至ります。初年度は資料の再依頼や想定外の論点が生じやすく、スケジュールには余裕を持たせるのが鉄則です。会社法監査であれば、株主総会日程から逆算した計算書類の確定スケジュールも監査人と共有しておきます。
成否を分けるのは「最初の1年の設計」
初年度監査の負担は、事前整備の質でまったく変わります。予備調査で示された課題をどこまで潰せるか、そして分からないことを気軽に聞ける監査人かどうか──この二つが、監査を「苦行」にするか「決算体制を鍛える機会」にするかの分かれ目です。
SMASH国際監査法人は、初めて監査を受ける企業様に対し、予備調査から体制整備のアドバイス、初年度監査までを丁寧に伴走することを大切にしています。外資系企業・海外子会社並びに任意監査の初年度監査の実績も豊富です。監査の新規選定をご検討の企業様は、まずはお気軽にお問い合わせください。
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執筆者: 森 大輔(公認会計士・公認不正検査士)
